収入と所得の違いをわかりやすく解説
こんにちは、後藤会計事務所の後藤です。
このブログでは、日々のご相談で多いテーマや、個人事業主・会社経営者の方からよくいただく不安や疑問を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。
今回はとてもシンプルですが、実は誤解されがちなうえ非常に重要な「収入と所得の違い」についてわかりやすく整理たい思います。
目次
1. まず大前提:収入と所得は全く別物です
- 収入(Revenue )
「入ってきたお金の総額」のことです。年収(給与所得者)、年商(個人事業主や企業)というとこちらの収入の総額を意味します。 - 所得(Income / Taxable Income)
「収入から経費や控除を引いた“残り”」で、税金の計算の基礎になる金額です。
多くの方が、つい「収入=所得」と考えてしまいますが、税金の世界ではまったく違うものとして扱われます。
2. 給与の場合:額面(支給額)と給与所得は違う
額面と給与所得って何が違うんですか?給与所得って手取りのことですか?
会社員の方からよくいただく質問です。
● 給与の「額面(支給総額)」=収入
額面は源泉徴収票でいう「支払金額」。
1年で会社から受け取った給与・賞与の総額です。
源泉徴収票の一番左上に記載されているもので、いわゆる年収ですね。
● 給与所得=収入から「給与所得控除」を引いた金額
サラリーマンの給与には経費の概念がない代わりに、自動的に差し引かれる“みなし経費”として「給与所得控除」があります。
給与所得 = 支給総額 - 給与所得控除
年収と比べて、みなし経費である給与所得控除があることで「課税される所得」は大きく減ります。
たとえば年収600万円なら、概ね給与所得は約430万円ほどに圧縮されます。
● 給与所得と手取りの違い
さて、では給与所得と手取りの違いですが、給与所得は前述のとおり収入から給与所得控除を引いた金額で、税金計算のための“みなし経費を引いた金額”です。
一方で、手取り=実際に銀行に振り込まれる金額。
言い換えると、手取り=給与収入 -(所得税・住民税・社会保険料) など各種税金が差し引かれた後の金額です。
このように、こちらも両社は全く違うものになります。
3. 個人事業主の場合:売上と事業所得は違う
次に、個人事業主の方です。
● 売上(収入)=入ってきた金額の総額
銀行口座に入金された金額そのものです。
● 事業所得=売上から経費を引いたもの
個人事業では、事業に必要な支出を「経費」として計上できます。
事業所得 = 売上 - 経費
経費の範囲は業種によりますが、家賃・通信費・車両費・工具代・仕入など、実際に事業に使うものであれば幅広く計上できます。
4. よくある誤解
❌ 売上=利益(所得)と思ってしまう
→ 正しくは「売上-経費=所得」。
売上だけ多くても、経費が多ければ所得は小さくなります。
❌ 給与の額面がそのまま税率に影響すると思ってしまう
→ 給与は「給与所得控除」で自動的に経費相当額が引かれるため、
額面と課税所得は大きく違います。
5. どれが税金に影響するの?
最終的に所得税や住民税の計算に使われるのは 所得 です。
- 給与:給与所得
- 個人事業:事業所得
- 不動産投資:不動産所得
- 配当:配当所得(申告分離を選択しなかった場合)
- 年金、副業:雑所得
など。
その「所得」を合計し、そこからさらに基礎控除や社会保険料控除など所得控除を引いたのが、最終の「課税所得」です。
(名前が紛らわしいのですが所得控除と給与所得控除は全くの別物、給与所得控除 →給与収入から最初に引く“自動の経費”、所得控除 → 最後に課税所得を小さくする“税金を減らす控除”です。)
この課税所得に所得税率をかけて所得税が算出されるという関係です。
さらに簡単に説明すると、この所得税の課税所得が上がれば、住民税・社会保険も連動して上がっていくイメージです。
稼げば稼ぐほど・・・というのは所得に応じて税負担も上昇してしまうからなんですね。
だからこそ節税は正しい知識で控除や特例、仕組を活用して、合法的に所得を低くし負担する税金を減らすことが大切です。
6. まとめ
- 収入は「入ってきた総額」
- 所得は「税金を計算するための利益」
- 給与では「給与所得控除」で大きく所得が圧縮される
- 事業では「経費」で所得が変わる
- 税金に影響するのは、最終的に「所得」
特に、会社員から独立された方が最初につまずきやすいポイントですので、参考になければ幸いです。
それでは。


